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泉屋博古館分館「中国青銅鏡展」開催中

川口直宜(泉屋博古館分館館長)
 
 平成23年、泉屋博古館分館の展覧会初めは、中国青銅鏡展で始まりました(会期は3月6日まで)。
本年もよろしくお願い申し上げます。
 青銅器とは、約9割の銅に1割前後の錫を合わせた合金(それに少量の亜鉛、鉛を混ぜ合わせる事もあります)で作られた利器を意味しますが、一番最初に作られたのは狩猟具であり、次いで農耕具であったと考えられます。
 中国における青銅鏡の製作は、新石器時代末(前19世紀)に始まり、戦国時代(前5世紀末~前3世紀)になって本格化し、ついで漢代(前3世紀~紀元3世紀)に絶頂期を迎え、唐代(紀元7世紀~10世紀)には、さらにその形態を大きく変化させながら再度の隆盛を成しとげました。

 今回の展観は、先に説明いたしました時代区分の内、春秋・戦国時代(前8世紀~前3世紀)から宋・元時代(10世紀~14世紀)までにかけて製作された鏡、83面で構成されております。
 鏡は、当然、人の顔を映すものであり、実用性を持っている物ですが、当時の考えでは、鏡は呪術力、霊力を持つ物とされ、単なる姿見とは見なされておりませんでした。また、不老長寿、子孫繁栄、官位栄達など人の願望を適える道具としても珍重されていたのです。
 このような目的から、鏡の背面(姿を映す面の裏側)に樣々な文樣を施すことによって成就がより強化されると考えられました。漢時代には、天界の四神である青龍、朱雀(すざく)、玄武(げんぶ)、百虎(びゃっこ)、不老長寿の神仙、神々に従う霊獣などが表出され、さらに唐時代には、龍、狻猊(さんげい)・獅子、天馬、鳳凰などの動物文、葡萄、蓮などの植物文などが表現されました。これらの文樣は、先に述べました鏡の霊力を増す作用と同時に、吉祥(おめでたい)の意味も含まれており、後世の吉祥文樣の原形となったのです。
鏡には、銘文(金属や石の器物に記された文章)が施された物がありますが、その文章には、『百福来たり扶(たす)く』、『寿は万年ならん』、『長く子孫に宜しからん』などの吉祥の意味合いの文章や、『長く相い思いて、願わくは相い忘るる毋(なか)らんことを』という相思相愛を願う意味(古い時代も男女が思うことは一緒ですね!)、さらに、筆者にとって最も好ましい『日に酒を飲み』という内容があります。鏡の文樣と銘文とを関連づけながら鑑賞するのも一興と思います。

 難しい漢字が輩出し、頭がクラクラしてまいりましたら、現代の鏡をご覧いただき、ご自身のお顔を映して深呼吸、ほら目眩も治ったかと拝察いたします。
 具体的に作品に触れますと、両作品とも盛唐時代の物ですが、「貼銀鍍金舞鳳狻猊八稜鏡(ちょうぎんときんぶほうさんげいはちりょうきょう)」(重要美術品)、「貼銀鍍金双鸞走獣八花鏡(ちょうぎんときんそうらんそうじゅうはっかきょう)」〈誰ですか、また難しい漢字が出てきたと嘆かれる方は!〉に見られる文樣は、華麗と言ってもよい美の世界を見せており、我々日本人が唐文化を想う時に感じる豪華絢爛たる文化をわずか直径25cmの世界に凝縮していると言っても過言ではありません。
 さらに、想像を逞しくする事が許されるのであるならば、この鏡をどの樣な佳人が手にし、おのれを映したのか、約1300年前の古に立ち戻りたい想いがします。そのようなロマンを醸し出してくれる世界がここにはあるのです。

展覧会名:中国青銅鏡展
会   期:2011年1月8日(土)~3月6日(日)
休館日:月曜日
開館時間:10:00~16:30(ただし、入館は16:00まで)
入館料:一般¥520、学生¥310(中学生以下無料)、20名様以上は2割引
ギャラリートーク:1月29日(土)、2月19日(土)各14時より
展覧会情報案内:03-5777-8600(ハローダイヤル)

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貼銀鍍金舞鳳狻猊八稜鏡 貼銀鍍金双鸞走獣八花鏡
【泉屋博古館 分館】
「中国青銅鏡展」開催中!
●1/8(土)~3/6(日)
●休館日:月曜日 ●開館時間:10:00~16:30(ただし、入館は16:00まで) ●入館料:一般¥520、学生¥310(中学生以下無料)、20名様以上は2割引

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